命中不安定技の議論を再び
ポケモンの命中不安定技採用の是非に関する議論は今に始まったことではない。
今回は”効用”という概念からそのことについて考える。
技 | 威力(ダメージ) | 命中 |
A | 80 | 1 |
B | 100 | 4/5 |
C | 120 | 2/3 |
上記のようなA、B、Cという技を仮定する。
なお、議論を単純化する為に追加効果は考慮しない。
まず、これらの技を使用した際に相手に与えるダメージの期待値は下記のようになる。
A:80×1=80(ダメージ)
B:100×4/5+0×1/5=80(ダメージ)
C:120×2/3+0×1/3=80(ダメージ)
相手への与ダメージにはバラツキがある一方で、期待値はいずれも80ダメージである。
この期待値で行動を判断することは”危険中立的”だと言える。
危険中立的な行動は判断基準を期待値に依存するので、A、B、Cのどの技にも採用する見込みがある。
しかし、その採用の選択が必ずしも合理的であるとは限らない。不利対面を”威張る”で突破することに喜びを感じる者が存在するように、ポケモントレーナー全てが危険中立者では無いからだ。
上記の例で言えば、確実に80ダメージを与えることができるAからより多く満足感を得られる者は”危険回避的”だし、リスクが大きいが命中させれば120ダメージも与えることができるCにより満足感を感じる者は”危険愛好的”だと言える。
その満足感とはすなわち”効用”のことである。
結局のところ、ポケモントレーナーの行動判断は、技から得られる効用の期待値、すなわち期待効用以上の効用を得られる技を選択するのが合理的だろう。
しかし、効用を計算する為の効用関数など”目に見える”ものではないし、その技に対する効用を計算することは不可能だ。
だからこそ気合玉に関する議論などは終わりを見せないわけだが、少なくとも言うことができるのは、技の選択はそれを選ぶ個人が危険中立的か、危険回避的か、それとも危険愛好的であるか、すなわちその個人の効用関数に依存するのであって、”普遍的にどの技が正しい”という答えは存在しないのだということ。
危険回避者は”メインウェポンが命中不安定のポケモンを使いたくない”と主張するし、危険愛好者は”俺のゲンガーは気合玉を当てるから強い”と驕る。
そして彼らが危険回避者であれ危険愛好者であれ、彼らの期待効用を満たす技の採用が”彼らにとっては”正しい。ただそれだけのこと。
素催眠当てられて文句垂らしてる奴は、ここで述べたことを論破してからにしましょう。